私たちのからだには、血管とともにリンパ管が張り巡らされています。リンパ管は一言で言うと、体の老廃物を運ぶ「排水管」の役割をはたしています。このリンパ管の働きが何らかの原因で悪くなると、皮膚組織のある部分に体液が溜まってむくみが起こります。これが「リンパ浮腫」です。
リンパ浮腫は生命にかかわりありませんが、放置すると、悪化し日常生活に支障をきたしたり、細菌感染など蜂寓織炎(ほうかしきえん)といわれる合併症の危険性があります。
リンパ浮腫の症状は、腕や足にむくみが生じるのがほとんどです。乳がん、子宮がん、前立腺がんなどの手術でリンパ節が切除されて側の腕や足だけが健康な側よりやや白っぽくむくんできます。右乳がん術後には右腕、左乳がん術後には左腕に両側乳がん術後でも片腕にむくみが出ることもあります。
婦人科がんや前立腺がんなどの手術後にも片足にむくみが出る場合が多いのですが、両足に出ることもあります。痛みや皮膚の色の変化はほとんどありませんが、むくみが急速に進んだ場合には、皮膚が張った感じやしびれを感じることがあります。
多くの場合、痛みがないのが特徴で、感覚が鈍ったような違和感、皮膚が張りしびれや重くだるい感じなどの不快感や苦痛を伴います。
また、強いむくみのために静脈がつぶされると皮膚が青紫色に変化する場合もあります。患者さん自身が外見の変化に強いストレスを感じて、うつ状態になる場合もあり、生活の質は大きく低下します。
潜伏期 | 明らかな浮腫(むくみ)の症状はなく、リンパも正常である |
第Ⅰ期 | 軽い浮腫が夕方にかけて生じるが朝方になると軽減されます。指で押すとへこみ圧痕が残ります |
第Ⅱ期 | 蛋白や脂肪が変性し繊維化して皮膚が硬くなり、指で押しても圧痕が残りません |
第三期 | むくみ肥大化し皮膚や脂肪の硬直化がすすみ表面の角化が進行し、象皮病を伴う場合があります。 |
リンパ浮腫の中でも先天性で原因が明らかでないものを一次性(原発性)リンパ浮腫といいます。先天性、早発性(35歳以前)晩発性(35歳以降)があり、大部分は早発性です。
リンパ管、リンパ節ともに発育が悪いなどの理由で起こる生まれつきによるものともいわれています。患者数は比較的少なく、リンパ浮腫の患者数全体の6%ほどといわれています。
二次性リンパ浮腫は病気やがん治療が主な原因リンパ管の炎症、腫瘍の浸潤、手術によるリンパ節の除去(リンパ節の郭清)、放射線照射によるリンパ管の破損などが原因で、リンパ管が閉塞してむくみが出るものを二次性リンパ浮腫といいます。リンパ浮腫と言われるもののうち9割以上が二次性のものです。
中でも多いのが、乳がんや子宮がん、前立腺がんなどの手術の際、リンパ節を切除したり、放射線照射によってリンパ節が障害さえた場合です。腕にむくみがみられるものには乳がん治療によるリンパ節郭清が多く、下肢リンパ浮腫といって足や下腹部のむくみには前立腺がんなどの治療によりむくみが数日の間に現れる事があります。
このようなリンパ浮腫は、術後の積極的治療やセルフケアを根気よく受け続けなくてはなかなかむくみは解消されません。二次性リンパ浮腫の原因はほかに、悪性腫瘍のリンパ管およびリンパ節への転移、リンパ管炎、寄生虫感染、血栓症静脈炎に伴うリンパ浮腫、外傷性リンパ浮腫などがあります。
リンパ浮腫は生命にかかわらないため、医者も軽くみがちの病気です。以前はがんの手術前後にリンパ浮腫の可能性や、予防法の説明がないこともよくありました。そのためむくんでからも、なんの病気かわからず、苦しむ人が大勢いました。今でもむくみが起きて不安になる人がおおいようです。
しかし、リンパ浮腫は決して怖い病気でもありません。リンパ浮腫は予防が大切で、日頃の注意点と適切な予防法を実践すれば徐々に改善されていきます。
デスクワークなどの座りっぱなし状態や、長時間立ちっぱなしになりがちな看護師さんやお店の店員、接客業等の立ち仕事は足の疲れや痛み、むくみを悪化させてしまいます。むくみの症状が軽症なうちに適度な足の屈伸や足首のストレッチ、疲れない程度の運動を日常で取り入れ予防する事がリンパ浮腫の悪化を防ぐ事ができます。
リンパ浮腫予防の運動におすすめなのは、ウォーキングなどの歩行や自転車、軽負荷でのエアロバイクダイエット、重力の抵抗か少ないアクアビクスや水泳などを普段から意識して運動をする事が大切です。
ただし、むくみを解消しようと張り切り過ぎて、疲労がたまるほどの運動はかえって静脈の流れが悪くなりむくみが強くなり恐れもあります。頑張り過ぎず、筋肉痛になるほどのトレーニングは避け、軽めの運動を取り入れるようにしましょう。
「ドクターメドマー」はリンパ浮腫治療のセルフケアの補助具として様々な病院やその他治療院で採用されており、患者様にもご愛顧いただいております。
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